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鬼来迎の感想

写真に続き、学生メンバーの感想を公開します!

なかには前期の授業「critical reading」と結びつけたものもあります。
この授業は、民俗芸能に関する視点の違う論文を十数本読み、批判的に検討し議論をするというもの。
学生の学生らしい一面も覗いて見てください♪


■ しかし、舞台が始まると、注意力が舞台の方に集中して、
暑さもそれほど感じられなくなりました。
大きな仮面と大げさな所作は遠くても見やすかったし、
緑一色の森と竹が背景なので、衣装、道具なども鮮やかに見えました。


■ わりと単調なストーリーと展開でした。
ストーリーだけでなく、動きも単純なもののくりかえしでした。
ですが、かえって、単純なものの繰返しがおもしろかったです。
閻魔が小さく縮んでから、大きく伸び上がる。
鬼達が左手を挙げたり、棒を立てたりしながら、右手を開いていく。
(そのときに「ホッホッホー」か「ヲッヲッヲー」と聞こえる声をあげる。)
これの繰返しがものすごく多くて、
なんだろう、あれは、と思っているうちに、
だんだんそれ自体がおかしくなってきてしまいました。
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■ 見た感想は、国指定重要無形民俗文化財なのに
やたら新しい感じがした、というのが一番です。
古くからあるものが現在に生きる人々によって
受け伝えられているのだから、そう感じるのは
ある意味で当り前のことなのだとは思います。
古いものを受け継いでいくことの大変さを垣間見た気がしました。

見ていて一番面白かったのは動きです。
一番初めに、舞台上で閻魔様が仁王立ちになって顔を上下させる
動きが特に印象的でした。すごく静かな、だけど何か圧倒される
感じがする動きでした。
体力、使うんだろうなあ…と思いました。静かな動き程筋力が必要です
ものね。面白かったし、すごかったです。

後は鬼婆が赤ちゃんを抱いて泣かせるところが面白かったです。
鬼婆に抱かれると赤ん坊は健康に育つそうです。
ある種の民間信仰だった様ですね。今でもそれが残っていて、
しかも抱いてもらおうと来る人が多くいたことが驚きでした。

鬼婆に抱かれた赤ちゃんが大きく泣けば泣くほど観客は大喜びです。
私も思わず笑ってしまいました。健康になれる上に観客から笑いが
取れるなんてすごいなあと思ってしまいました(笑)
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■ 個人的の最も面白かったのが「釜茹で」の幕。
鬼婆赤鬼黒鬼の三人が亡者を茹でます。
鬼婆は団扇で扇ぎながら火を燃やし、黒鬼は笹の枝を振り回しています。そして赤鬼は自分の身長ほどもある丸太棒で湯を掻き混ぜ、時に暑さに耐えかねて飛び出してくる亡者を打ち据えて湯に戻し、最後には、棒の先で亡者の襟足をちょいと引き上げ、茹で加減をみます(爆笑)!
自分の父親の実家ではお盆などで帰る度にウドンを茹でさせられるのですが、その茹で加減をみる時にそっくりでやけに生々しい。逆にその生々しさが笑えました。
………………あの劇の本旨に沿えば、決して笑う所ではないのでしょうが。

全体を通して一番感じたのは、鬼来迎という芸能が(言い方は悪いけれど)思っていたより「素朴」、あんまり村興しとか観光の商品として扱われているわけじゃないんだな、という事でした。決して昔のままというわけではないのですが、変に商品化されているわけじゃない。
最寄り駅から臨時バスが出たり、パンフや写真集を売ったり、内容についてマイクで解説を入れたりと決して観光的な要素が絶無というわけではないのですが、仕切ってる人も役者の人も手伝っている人も、芸能を実行している人達が全然気負っていない感じがしました。着替えだって客席のすぐ脇の本堂でしているし。煙草吸ってるし。普通に町内会のお祭りや保育園の運動会みたいな、ちょっとした程度のイベントのように。
前期のテクストに何度も出てきて、自分の中でなんとなく思っていた「やたらと外にアピールされる」民俗芸能というイメージから、よい意味で裏切られました。
こういう風に感じたのは、舞台裏の様子が観客の側から見えるというのが一番大きく拠っていると思います。というかそんな部分が見れるとは露にも思っていなかったので、準備中の時も、おまけに本番の間まで演技なんかよりそちらの方を積極的に見ていたような気がします。
こういう『民俗芸能もあるんだな』って感じに。
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(写真:吉野秀夫氏撮影)
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by chibakyogen | 2006-09-11 11:28 | 制作日誌(2006年度)